| 第3回 |
「エジプトはナイルの賜物か」
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11/15〜 |
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「ナイル川での漁」
(ルクソール西岸、イビィ墓) |
『エジプトはナイルの賜物』。この言葉、皆さんご存じですね。今から2400年近く前にギリシャの歴史家といわれる、ヘロドトスという大変立派な人がエジプトにきて言った言葉です。
みんなそう思っていましたし、私たちも学校で習ったのは、“ナイルあってのエジプトでナイル川がなければエジプトはないんだ”ということでした。川というのは文明ができるためにはどうしても不可欠。川がなければ人は住めないし、人が住めなければ文明はできない。だから必要なものなんだ。と教わってきました。
かといって、そこに川があって人が住めるんだからといってそこに住む人の力が強くないとダメ、いろんなことを考えないとダメ。想像力も必要だということになりますと、そこに立派な賢い人々がいることが重要なんです。すなわち“十分”である、人が必要なんです。
皆さん、数学で“必要条件”と“十分条件”というのを習ったと思いますが、この手でいきますと、ナイル川というのは、エジプト文明にとって必要条件ではあるけれど、十分条件ではない。エジプト人というのは必ずしもそこに必要ではなかったんけれど、そこにいたために、文明ができたので、これは十分条件だ。すなわちナイル川にとって、エジプトにとって、人と川は必要十分条件である。これが最近の文明論なんですね。すなわち私たちはどうも、自然なら自然を、人間なら人間を、一方的に見てしまう。この両者が合体するだけじゃだめなんですね。そこに自然から恩恵を受けた人間が充分に自然を尊重してうまく利用するということです。 |
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「カルナク神殿」
(ルクソール東岸) |
すなわち古代エジプト人というのは全ての自然を神様として崇め奉った、ですからたくさんの神様がいます。しかも古代エジプト人の面白いのは、その神様が自分たちと一緒にこの地球上に住んでいるのではなく、あの世という別の国があって、この国に住んでいる神様たちがお祭とか儀式とか、そのほか人間を助けるためにあの世からやって来る。だからそのために家を作らなければならないということで、あの巨大なる神殿をつくったわけです。その神殿に住んでいただいて、食事も出し、お風呂にも入れ、どこかに行くときにはみこしも作ってそれに乗せ人間が運ぶという接待をして、神様すなわち自然を大切にしたというわけです。ですから古代エジプトはなんと3000年も続いたのです。
ほかの国の歴史で3000年も続いたということはありません。これは全て、ナイル川というものをまた自然というものを大切にしたからなんですね。 |
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●1943年東京生まれ。
幼い頃からエジプトに興味を抱き、1966年に早稲田大学古代エジプト調査隊を組織し発掘を始めました。
ルクソール西岸の『魚の丘』、クルナ村の貴族墓では200体のミイラや未発見貴族墓、クフ王のピラミッド内の第2の『太陽の船』を発見したのは実は私なんですよ。
発掘活動の現状報告などもお話していこうと思っています。
現在早稲田大学客員教授(工学博士)。
本もたくさん書いています。デジタル衛星放送・ヒストリーチャンネル「吉村作治 エジプト博物館」にも出演していますので、こちらをご覧になれば「動く私」に会えますよ!
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