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「小麦の刈り取り」
(ルクソール西岸、センネジェム墓) |
今回のテーマは「古代エジプトの科学と技術」です。その第1回目として「国家を支えた正確な計算術」についてお話します。
古代エジプトが急速に大きくなって強くなった理由として、税収が非常にしっかりしていたということが上げられます。ある土地からできる作物の大体半分が王様のものになっていた。税金ですね。そして残りの半分を土地所有者とそこで働く納品が半分ずつにしていたのです。
こういう風になっていましたから、土地を測る必要がありました。
土地の広さとナイル川の氾濫と種の量がわかれば生産量がわかる。生産量がわかれば税金もわかります。つまり、予定納税ですね、そういうことでやったのですが、なんと十進法による計算法を使っていたんです。
古代エジプトでは長さを測る時、1キュービットという単位を使っていました。これは王様の腕の長さなんです。
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古代エジプトのものさし「デジット棒」
(カイロ・エジプト博物館蔵) |
だとしたら、王様が変わると長さも変わるのか?という疑問が出てきますね。実は変わってたんです。一見困りそうですよね。実は何も困っていなかった。
我々が現在使っているメートルとかフィートというのは絶対値、誰がどうやって測っても変わらないものです。地球上どこへ行っても1メートルは1メートル、1フィートは1フィートとなっていますが、古代エジプトでは王様が変わると絶対距離、絶対値が変わります。相対値ですね。今の我々には大変なことです。まぁ、コンピューターがあるからうまくいくかも知れませんけど。ところが、相対値も比例計算をしていく限り、変わるものではないんです。
良かった点もあります。王様と腕の長さが同じ人が、その王の時代に大臣になったとします。しかし、王様が変わったらもう大臣になれるとは限らない。つまり、政権交代するということです。
また、後の時代、我々考古学者にとって、いいことがあります。例えば、ピラミッドの一辺の長さを絶対値で測り、キュービットに変換するとその王様の腕の長さがわかりますよね。そうしたら、ミイラがなくとも、その王様の大体の身長がわかるんです。便利なんですね。
我々は絶対値の世界に浸っていますが、実は相対値、比例というのは大切なんです。比例というのは計算するのにとてもいいんです。古代エジプトの計算は非常に確かです。整数で割り切れる。小数がないんです。ですから、我々が今研究するのには大変便利で正確な計算術を古代エジプト人は持っていたということになります。 |
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●1943年東京生まれ。
幼い頃からエジプトに興味を抱き、1966年に早稲田大学古代エジプト調査隊を組織し発掘を始めました。
ルクソール西岸の『魚の丘』、クルナ村の貴族墓では200体のミイラや未発見貴族墓、クフ王のピラミッド内の第2の『太陽の船』を発見したのは実は私なんですよ。
発掘活動の現状報告などもお話していこうと思っています。
現在早稲田大学客員教授(工学博士)。
本もたくさん書いています。デジタル衛星放送・ヒストリーチャンネル「吉村作治 エジプト博物館」にも出演していますので、こちらをご覧になれば「動く私」に会えますよ!
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