| 第5回 |
「アメンヘテプ3世王墓 修復編」
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3/29〜 |
前回、何か抜けてるなあと思ったのですが、アメンヘテプ3世の王墓の壁画の話を忘れていました。今回はそのお話をしましょう。
アメンヘテプ3世王墓の壁画、完全にくすんでいたんですね。ほこりとか、中で薪をたいたその煤とか、コウモリが入った、そのフンとかです。一番ひどかったのは地下水が上がってきて、含まれている塩が王墓に入り壁画を壊していったことでしょうかね。あと、王墓は一種のトンネルですから、落ちないように自然の岩をくりぬいて柱が作られていますが、3400年もたてばその柱にも亀裂が入っている…等々、まさに『危うしアヘンヘテプ!』といった感じでした。
そこで私もユネスコの修復部と組み、この王墓をまず修復しようと2001年に計画を立てました。やっとユネスコの許可を得られて、4ヶ国で、インターナショナルでこのプロジェクトを進めることになりました。 |
まず2002年にトライアルということで、1ヶ月だけ1番ひどいところを少し修復することになりました。まず壁画の表面にくっついているほこり、煤、フンなどを取ったんですけど、ここでビックリすることが起こります。これがもともとのものかと驚くほど鮮明な色が現われたんです。逆にいうとこのほこりや煤が絵を保存していたということなんでしょうね。もちろんトンネル状態の中ですから太陽光がはいってきませんので、顔料が落ちない、つまり色がはげない。あと、空気がよどんで動かなかったのもよかったかもしれません。
そして、一番驚いたのはクリーニングしていくうちに、それまでわからなかった文字や見えなかった絵・図像が出てきたことです。今まで我々が知らなかったことがわかるようになる。これにはイタリアの修復の技術者も大変驚いていましたが、一番驚いたのはエジプト考古庁です。長官から始まり、みんなが見に来ました。
2003年の1月から5月までの5ヶ月間クリーニングを続けて全体の3分の1できるかどうかですから、3年計画です。成功させればユネスコとエジプトと日本が組んだところにイタリアの技術が加わって新しい情報を発信することができるようになるということです。
今後の成果をぜひ、みなさんにお見せしたいと思っています。 |
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●1943年東京生まれ。
幼い頃からエジプトに興味を抱き、1966年に早稲田大学古代エジプト調査隊を組織し発掘を始めました。
ルクソール西岸の『魚の丘』、クルナ村の貴族墓では200体のミイラや未発見貴族墓、クフ王のピラミッド内の第2の『太陽の船』を発見したのは実は私なんですよ。
発掘活動の現状報告などもお話していこうと思っています。
現在早稲田大学客員教授(工学博士)。
本もたくさん書いています。デジタル衛星放送・ヒストリーチャンネル「吉村作治 エジプト博物館」にも出演していますので、こちらをご覧になれば「動く私」に会えますよ!
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