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「机上に並ぶビール壷」
(ルクソール西岸、センネフェル墓) |
第3回目は「古代ビールとワイン」についてお話しましょう。
古代エジプトではビールはだれでも飲める、庶民の飲み物でした。ですから、仕事帰りとか、食事の時などにビールを飲んでいました。
当時はビンやグラスがありませんでしたから、土器の入れ物にビールを入れて飲んでいたんですね。また、泡立っていませんでした。炭酸を使っていなかったので、今のウーロン茶のような感じ、ですから「ぷはーっ」とやっても口の周りに泡がつくなんてことはなかったわけです。
古代エジプトのビールは9%から11%と、アルコール度数が高いんです。今から2000年ぐらい前にギリシャ人がこの古代エジプト人のビールの作り方を書き残しました。ところが、その作り方でいくと1%から1.2%にしかならないんですね。
なぜかというと酵母菌を乳酸菌が殺してしまう。古代ギリシャ人はこのことをきちっと知らずに私たちに教えたということです。
乳酸菌を殺す方法。それはパンだったんです。パンを焼いてその時に乳酸菌を焼き殺してしまう。乳酸菌が死んだところで、酵母菌がパンを餌にして発酵をしていく。そうすると9%とか10%になるんです。 |
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「ワインづくりの様子」
(ルクソール西岸、ナクト墓) |
ビールが庶民の飲み物とすれば、ワインは貴族の飲み物、王様の飲み物でした。貴族でも相当位が高くないとワインは飲めなかったんです。なぜかというと、ワインの原料であるブドウがエジプトでは北の地中海周辺でしか取れなかったからです。あとは外国から輸入しなければならなかった。そのため、ワインは王様の独占販売でした。
古代エジプトではワインを壷に入れて分けていたのですが、その壷には治世何年のものでどこで取れたブドウで、というようなこと、つまり、ビンテージがちゃんと書かれているんです。
ツタンカーメンの墓から出てきたもの中にもはっきりビンテージのわかる壷があるんです。
ワインというとフランス、ビンテージというイメージがありますが、今から3500年前にビンテージもののワインがあり、王様たちが飲んでいたなんて、素晴らしいじゃないですか。
今、私たちが飲んでいるおいしいビール、ワインは今から5000年前にエジプトで誕生したのです。 |
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●1943年東京生まれ。
幼い頃からエジプトに興味を抱き、1966年に早稲田大学古代エジプト調査隊を組織し発掘を始めました。
ルクソール西岸の『魚の丘』、クルナ村の貴族墓では200体のミイラや未発見貴族墓、クフ王のピラミッド内の第2の『太陽の船』を発見したのは実は私なんですよ。
発掘活動の現状報告などもお話していこうと思っています。
現在早稲田大学客員教授(工学博士)。
本もたくさん書いています。デジタル衛星放送・ヒストリーチャンネル「吉村作治 エジプト博物館」にも出演していますので、こちらをご覧になれば「動く私」に会えますよ!
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