「古代エジプトの食文化」、その2回目は「古代の主食・パン」です。
このごろの若い人はパンが大好きですね。私はまだ米派ですが。エジプトのパンはおいしいです。いろんな種類のパンがあります。そうですね、17種類とか20種類ぐらいありました。これらのパンは小麦で作られました。小麦の中でも古代エジプトではエンマ小麦というのを使っていました。今ではほとんどない種類です。私があるビールメーカーと共同で古代エジプトビールの復元をしたとき、このエンマ小麦を京都大学からもらって増やしました。これを古代の鎌で刈り取ったのですが、不思議なことに古代人は穂刈といって、麦の穂のところだけ刈っていくんですね。で、あとはそのまま放っておくかというと、そうではない。根のところもちゃんと刈ってストローの部分を大事にとっておいて、レンガを作る時に入れたり、日よけのために天井に乗っけてよしずのようにして使ったりしていました。
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取った小麦はアンフォーラという土器に入れます。素焼きの土器で風通しがいいですから腐ったりしない、雨も漏らないので長持ちする。長ければ半年も持ちますので日陰の風通しのよい倉庫みたいなとにずーっとおいておくんですね。
なぜおいておくかというと、小麦が貨幣のような役割を持っていたからです。
税金として集めたものを必要に応じて出し、お金のような使い方や食料として使う。給料として配られた場合は家に持ち帰って、パン屋…パン焼き釜を持っている人のところへその日食べたい分だけ持っていく。そうするとその小麦に相当するパンと交換してもらえるんです。
そうしてパンを買ってきてみんなで食べるんですが、一番食べやすい食べ方は、ゴマだれを塗って食べるというのです。もう少し洒落た家庭ではこのゴマだれにヨーグルトと塩を少し混ぜて塗って食べる。これは食欲が進みます。今でもこのゴマだれ(タヒーナといいます)をエイシというパンに塗って食べると、もうバターやマーガリンを塗って食べる気がしないほど、我々の口にも合っています。古代エジプト人はそうやってパンを食べていたのです。 |
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●1943年東京生まれ。
幼い頃からエジプトに興味を抱き、1966年に早稲田大学古代エジプト調査隊を組織し発掘を始めました。
ルクソール西岸の『魚の丘』、クルナ村の貴族墓では200体のミイラや未発見貴族墓、クフ王のピラミッド内の第2の『太陽の船』を発見したのは実は私なんですよ。
発掘活動の現状報告などもお話していこうと思っています。
現在早稲田大学客員教授(工学博士)。
本もたくさん書いています。デジタル衛星放送・ヒストリーチャンネル「吉村作治 エジプト博物館」にも出演していますので、こちらをご覧になれば「動く私」に会えますよ!
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