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この連載が始まってから何度か申し上げていることですが、「若々しく生きる」ということの基本は、「楽しむ」ことにあります。最近、漫画家の弘兼憲治さんと「黄昏恋愛論」(小学館)という本を出しましたが、中高年が若さを保つ秘訣のなかで、やはり、恋愛や旧い友人との人付き合いの大切さを述べています。ぜひ一読されたいものです。
中高年になって、つまらないばかりの毎日では、心身ともに老けこんでいくだけです。楽しめるからこそ、心も身体も若々しくしていられるのです。
楽しむには、一人より、やはり大勢のほうがいいでしょう。酒を飲むにしても、一人もいいかもしれないけれど、やはり大勢のほうが楽しいものであります。
それには、いつも仲間と会える環境をつくっておくことが大事になってきます。趣味のサークルに入ったりして、新しい仲間の輪を広げるのも、もちろん有意義なことです。しかし、やはり古い仲間のほうが、つきあいが長いだけに安心していられます。心からほんとうに楽しめたりするものです。
そのメリットを失わないためにも、転職や転籍後、あるいは定年後も、昔の仲間と会う機会をつくることを私はお勧めします。
これは同僚だけでなくてもよくて、部下や上司とも会う機会をなるべくつくっておいたほうがいいと思います。
「社を去った者に会ってはならない」という規則を設けている会社は、私の知るかぎりでは存在しません。会社と関係がなくなっても、人間関係まで切る必要はないのです。
そうした人間関係が切れないことは、会社にとってもメリットになります。
会社と関係がなくなれば、会社に関する話を聞いたとしても利害が絡まなくなります。利害があるあいだは、たとえば部下の失敗を聞いたとしても、自分の立場を守ることしか考えられず、そのために問題を深刻化させてしまうかもしれませんが、利害が絡まなくなってくると、客観的に判断がしやすくなるのです。もともとは社内の人間だから、社内事情にも通じているので、問題も的確に把握できます。ということは、最善の解決策をみつけだしやすいので、元の部下たちの相談役になれることでしょう。
あなたに相談できれば、適切なアドバイスを得られる。しかも、クビや昇格がかかっていないので、相談する側も会社に内密なことも相談しやすい。
会社にとっては、それは何ものにも替えられない財産です。それを積極的に活用するシステムを持った会社がないことのほうが、私には不思議でなりません。
もちろん私は、会社のためにアドバイス役をかってでろといっているわけではありません。そういう役割をはたすことが、若々しく生きるのにメリットがあると、私はいいたいのです。
そういった相談を聞くためには、当然、人と会うことになります。それ自体が、楽しみに楽しいことになり。やがて、自分が必要とされていることを実感することは、精神的に満たされた気分になれるし、自信にもつながることでしょう。それが、若々しさを保つことになるのです。
また解決策を考えることは頭を使うことにもなるので、そういう人間関係を続けることは、若々しく生きることにもつながっていくことでしょう。
そのためには、会社を辞めたあとも、そうした関係が続くような環境をつくっておく必要があります。定年を迎えた日に、「ホッとしたよ」などと部下に陰口を叩かれるような関係しかなければ、定年後に「一杯飲もうや」と誘っても、「けっこうです」と断られるのが関の山。それは、ストレスにしかなりません。
そこで、定年後も、誘えば、「喜んで」とつきあってくれ、会社のグチをもらしてくれる関係になるには、会社にいるときから良好な人間関係を築いておく必要があります。それには、積極的に人に働きかけ、真剣に人との関係を考えること。そういうことに頭を使うことが、すでに脳にはいい刺激となって、老化させないことにもつながります。
会社にいるときも、去ってからも、若々しくいるためには、人間関係を大事にすることが基本になるのです。
次回は、心の疲れをとる睡眠についてお話します。お楽しみに。 |
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●1960年生まれ、精神科医。東京大学医学部卒、アメリカ・カールメニンガー精神医学校国際フェロー。老年精神医学、精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。日本初の心理学ビジネスのシンクタンク、ヒデキ・ワダ・インスティテュートを設立し、代表に就任。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。
2004年より企業経営者のための会員サービス「和親の会」を発足。
和田秀樹公式サイト:
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